配当留保供託と破産法42条2項本文

  • 2019.02.26 Tuesday
  • 15:35

株券未発行株式につき売却命令による売却がされ、配当額が配当留保供託された場合において、破産法42条2項本文の適用があるかについて、最高裁判決(平成30年4月18日)がなされたので、ご紹介します。

 

その判旨は、

株券未発行株式に対する強制執行の手続きにおいて、売却命令による売却がされた後、配当留保供託がされた場合において、供託事由が消滅して供託金の支払委託がされるまでに債務者が破産手続開始の決定を受けたときは、破産法42条2項本文の適用があり、執行裁判所は職権により差押命令を取り消すことができる

というものです。

 

破産法42条

1 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。

2 前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

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明渡猶予制度

  • 2018.10.06 Saturday
  • 16:36

明渡猶予制度(民法395条1項)の適用に関し、最高裁決定(平成30年4月17日)がなされたので、ご紹介いたします。

 

その要旨は、

担保不動産競売手続開始前から建物を使用収益する、担保権者に対抗できない賃借権者は、当該賃借権の設定が滞納処分による差押後であっても、競売手続の開始前から使用収益する者(民法395条1項1号)に当たる

というものです。

 

民法395条1項

 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。

一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者

 

建物仮差押後の敷地譲渡と法定地上権

  • 2017.07.29 Saturday
  • 17:24

建物仮差押後の敷地譲渡と法定地上権の成否に関する最高裁判決(平成28年12月1日)がなされましたので、ご紹介いたします。

 

その判旨は、

地上建物仮差押が本執行移行した競売手続きにおける買受人が地上建物の所有権を取得した場合、土地及び地上建物が仮差押え時点で同一の所有者に属していたときは、差押時点では土地の譲渡により土地及び地上建物が同一人に属していなかったとしても、法定地上権が成立する

というものです。

 

民事執行法81条

 土地及びその上にある建物が債務者の所有に属する場合において、その土地又は建物の差押えがあり、その売却により所有者を異にするに至つたときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合においては、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

 

cf民法388条

 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。