認知症の方の家族の賠償責任

  • 2016.09.26 Monday
  • 00:59

3月にお伝えした認知症の方の家族の賠償責任についての最高裁判決(平成28年3月1日)の内容をご紹介いたします。

 

その判旨は、以下のとおりです。

 

民法752条の規定をもって民法714条1項にいう責任無能力者を監督する義務を定めたものということはできず、他に夫婦の一方が相手方の法定の監督義務者であるとする実定法上の根拠は見当たらない。

したがって、精神障害者と同居する配偶者であるからと言って、その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない。

もっとも、法定の監督義務者に該当しないものであっても、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を越えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、衡平の見地から法定の監督義務を負う者と同視してその者に対し民法714条に基づく損害賠償責任を問うことができるとするのが相当であり、このような者については、民法714条1項が類推適用される。

その上で、法定の監督義務者に準ずべき者にあたるか否かは、その者自身の生活状況や心身の状況などとともに、精神障害者との親族関係の有無・濃淡、同居の有無その他の日常的な接触の程度、精神障害者の財産管理への関与の状況などその者と精神障害者との関わりの実情、精神障害者の心身の状況や日常生活における問題行動の有無・内容、これらに対応して行われている監護や介護の実態など諸般の事情を総合考慮して、その者が精神障害者を現に監督しているかあるいは監督することが可能かつ容易であることなど衡平の見地からその者に対し精神障害者の行為にかかる責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるか否かという観点から判断すべきである。

 

そして、被告Y1は、長年A(精神障害者)と同居していた妻であり、子らの了解を得てAの介護にあたっていたものの、事故当時85歳で左右下肢に麻ひ拘縮があり要介護1の認定を受けており、Aの介護も子の妻の補助を受けて行っていたのであるから、第三者に対する加害行為を防止するためにAを監督することが現実的に可能な状況にあったということはできず、その監督義務を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。

また、被告Y2は、Aの子であり、Aの介護に関する話し合いに加わり、その妻がA宅の近隣に住んでA宅に通いながらY1によるAの介護を補助していたものの、Y2自身はA宅から離れた場所に住んでいたもので、本件事故まで20年以上もAと同居しておらず、本件事故直前の時期においても1箇月に3回程度週末にA宅を訪ねていたにすぎない。そうすると、Y2はAの第三者に対する加害行為を防止するためにAを監督することが可能な状況にあったということはできず、その監督を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。

 

※民法714条1項

 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

 

 民法752条

 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

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