共同相続人間の相続分の無償譲渡と特別受益

  • 2019.05.26 Sunday
  • 16:14

共同相続人間の相続分の無償譲渡が、相続分・遺留分算定の基礎に含まれる民法903条1項の譲渡に当たるかについて、最高裁判決(平成30年10月19日)がなされましたので、ご報告いたします。

 

その判旨は、

共同相続人間の相続分の無償譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、民法903条1項に規定する「譲渡」に当たる

というものです。

 

 

民法903条1項

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

 

民法1044条

第887条第2項及び第3項、第900条、第901条、第903条並びに第904条の規定は、遺留分について準用する

 

 

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    自動車売買の保証会社の別除権

    • 2019.04.12 Friday
    • 13:12

    自動車売買の保証会社の別除権について、最高裁判決(平成29年12月7日)がなされたので、ご報告いたします。

     

    その判旨は、

    自動車売買の売買代金債務を連帯保証した保証会社が、保証債務の履行として、販売会社に売買代金残額を支払った後に破産手続が開始した場合、開始時点で販売会社を所有者とする登録がされているときは、保証会社は、留保所有権を別除権として行使することができる

    というものです。

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      配当留保供託と破産法42条2項本文

      • 2019.02.26 Tuesday
      • 15:35

      株券未発行株式につき売却命令による売却がされ、配当額が配当留保供託された場合において、破産法42条2項本文の適用があるかについて、最高裁判決(平成30年4月18日)がなされたので、ご紹介します。

       

      その判旨は、

      株券未発行株式に対する強制執行の手続きにおいて、売却命令による売却がされた後、配当留保供託がされた場合において、供託事由が消滅して供託金の支払委託がされるまでに債務者が破産手続開始の決定を受けたときは、破産法42条2項本文の適用があり、執行裁判所は職権により差押命令を取り消すことができる

      というものです。

       

      破産法42条

      1 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。

      2 前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

      3 ・・・

      労災保険給付を受けた交通事故の被害者の自賠法16条請求

      • 2019.02.16 Saturday
      • 21:10

      交通事故の被害者が労災保険給付を受けた場合における国と被害者の自賠法16条請求(被害者請求)の調整に関し、最高裁判決(平成30年9月27日)が出ましたので、ご紹介いたします。

       

      その判旨は、

      交通事故の被害者が労災保険給付を受けてもなお填補されない損害について直接請求権を行使する場合、被害者が国に優先して自賠責保険の保険会社から自賠責保険金額の限度で自賠法16条1項に基づき損害賠償額の支払いを受けることができる

      というものです。

       

      労災保険法12条の4第1項

      政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

       

      自賠法16条1項

      第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。

      ※3条

       自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。

      マンション管理組合理事長の解任

      • 2019.01.24 Thursday
      • 09:56

      理事の互選により選任されたマンション管理組合の理事長の解任について、最高裁判決(平成29年12月18日)がなされたのでご紹介いたします。

       

      その判旨は、

      管理規約に以下のような定めがある場合、

       〔魄として理事長を含む理事を置く

       ⇒事は総会で選任する

       M事長は理事の互選により選任する

       ぬ魄の選任・解任については、総会の決議を経なければならない

      理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが、管理規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致する。管理規約において役員の解任が総会の決議事項とされていることは、上記のように会する妨げにはならない。

      したがって、理事長の互選により選任された理事長につき、上記の定めに基づいて、理事の過半数の一致により理事長の職を解くことができる

      というものです。

       

      会社分割と信義則

      • 2018.11.23 Friday
      • 14:58

      吸収分割により賃借人の地位が承継された場合において、賃借権譲渡禁止特約に基づく解除に伴う違約金請求についての最高裁決定(平成29年12月19日)がなされたので、ご紹介いたします。

       

      その判旨は、

      吸収分割契約の定めに従い、吸収分割承継会社が吸収分割会社の賃貸借契約に係る権利義務を承継する場合において、

      )楫鏃物を長期にわたり吸収分割会社に賃貸し、その賃料によって本件建物の建築費用を回収することを予定していたこと

      賃借権譲渡禁止特約違反による解除に伴う違約金条項は、賃借人の変更による不利益を回避する意図であったこと

      5杣分割承継会社は、支払い能力を欠くことが明らかであること

      ぐ稾鷆盧銚△狼杣分割の効力発生後に解除の意思表示によって発生するので、吸収分割について異議を述べることができたとはいえないこと

      から、吸収分割がされたことを理由に違約金債権に係る債務を負わないと主張することは、信義則に反し許されず、吸収分割後も、吸収分割会社に対して違約金債権に係る債務の履行を請求することができる

      というものです。

       

      会社法789条1項

      1 次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める債権者は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる。

       二 吸収分割をする場合 吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行(当該債務の保証人として吸収分割承継会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む。)を請求することができない吸収分割株式会社の債権者(第758条第8号又は第760条第7号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、吸収分割株式会社の債権者)

      2 前項の規定により消滅株式会社等の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、消滅株式会社等は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者(同項の規定により異議を述べることができるものに限る。)には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第四号の期間は、一箇月を下ることができない。

       四 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

      4 債権者が第2項第4号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該吸収合併等について承認をしたものとみなす。

      5 債権者が第2項第4号の期間内に異議を述べたときは、消滅株式会社等は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該吸収合併等をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

       

       

       

      子の引渡し

      • 2018.11.19 Monday
      • 19:10

      国境を越えて連れ去りをされた子につき、ハーグ条約実施法に基づき、子を常居所地国に返還することを命ずる終局決定が確定したが、この決定に従わずに子が監護されている場合の人身保護請求に関し、最高裁判決(平成30年3月15日)がなされたのでご紹介します。

       

      その判旨は、

      ‥該子による意思決定がその自由意思に基づくものといえるか否かを判断するに当たっては、基本的に、当該子が意思決定の重大性や困難性に鑑みて必要とされる多面的、客観的な情報を十分に取得している状況にあるか否か、連れ去りをした親が当該子に対して不当な心理的影響を及ぼしていないかなどといった点を慎重に検討すべきである。

      →被拘束者(13歳)は、拘束者の連れ去りによって11歳3か月の時に初来日し、以降、拘束者に大きく依存して生活

       拘束者は、子の返還の代替執行に際して、被拘束者の面前で激しく抵抗

      →被拘束者が自由意思に基づいて拘束者の下にとどまっているとはいえない特段の事情がある

      →拘束者の被拘束者に対する監護は、人身保護法及び同規則にいう拘束に当たる

      ⊂綉終局決定が確定したにもかかわらず、拘束者がこれに従わないまま当該子を監護することにより拘束している場合には、その監護を解くことが著しく不当であると認められるような特段の事情のない限り、拘束者による当該子に対する拘束に顕著な違法性がある

      というものです。

       

      人身保護法2条

      1 法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束されている者は、この法律の定めるところにより、その救済を請求することができる。

      2 何人も被拘束者のために、前項の請求をすることができる。

       

      人身保護規則4条

      法第2条の請求は、拘束又は拘束に関する裁判若しくは処分がその権限なしにされ又は法令の定める方式若しくは手続に著しく違反していることが顕著である場合に限り、これをすることができる。但し、他に救済の目的を達するのに適当な方法があるときは、その方法によつて相当の期間内に救済の目的が達せられないことが明白でなければ、これをすることができない。

       

      最判昭和61年7月18日

      意思能力がある子の監護について、当該子が自由意思に基づいて監護者の下にとどまっているとはいえない特段の事情があるときは、上記監護者の当該子に対する監護は、人身保護法及び同規則にいう拘束に当たる

      抵当権の時効消滅

      • 2018.11.15 Thursday
      • 08:44

      被担保債権が免責された場合における抵当権の時効消滅について、最高裁判決(平成30年2月23日)がなされたのでご紹介します。

       

      その要旨は、

      抵当権の被担保債権が免責許可決定の効力を受ける場合には、民法396条は適用されず、債務者及び抵当権設定者に対する関係においても、民法167条2項所定の20年の消滅時効にかかる

      というものです。

       

      民法396条

       抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

       

      民法167条2項

       債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅する。

      明渡猶予制度

      • 2018.10.06 Saturday
      • 16:36

      明渡猶予制度(民法395条1項)の適用に関し、最高裁決定(平成30年4月17日)がなされたので、ご紹介いたします。

       

      その要旨は、

      担保不動産競売手続開始前から建物を使用収益する、担保権者に対抗できない賃借権者は、当該賃借権の設定が滞納処分による差押後であっても、競売手続の開始前から使用収益する者(民法395条1項1号)に当たる

      というものです。

       

      民法395条1項

       抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。

      一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者

       

      不動産と商事留置権

      • 2018.07.14 Saturday
      • 15:58

      不動産が商事留置権の目的物に含まれるかについて、最高裁判決(平成29年12月14日)がなされたのでご紹介します。

       

      その判旨は、

      不動産は、商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たる

      というものです。