配当異議訴訟で原告敗訴した場合の充当方法

  • 2016.07.17 Sunday
  • 18:47

配当異議訴訟で原告敗訴した場合の充当方法に関する最高裁判決(平成27年10月27日)がありましたので、ご紹介します。

その判旨は
担保不動産の競売手続における根抵当権者に対する配当について配当異議の訴えが提起され、その訴えにおいて根抵当権者が勝訴した場合、供託されていた供託金は、配当の実施として供託金の支払委託がされた時点における被担保債権に充当される。
というものです。

 

※民事執行法

89条2項

執行裁判所は、配当異議の申出のない部分に限り、配当を実施しなければならない。

90条1項

配当異議の申出をした債権者…は、配当異議の訴えを提起しなければならない。

91条1項

配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、裁判所書記官は、その配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。

  А’枦異議の訴えが提起されたとき

92条1項

前条第1項の規定による供託がされた場合において、その供託の事由が消滅したときは、執行裁判所は、供託金について配当等を実施しなければならない。

抗告手数料の追納

  • 2016.07.11 Monday
  • 00:30

納付期間経過後の抗告手数料の納付に関する最高裁決定(平成27年12月17日)が出ましたので、紹介します。

その要旨は以下のとおりです。

抗告手数料の不納付を理由とする却下命令が確定する前に抗告手数料を納付すれば、その瑕疵は補正され、抗告状は当初にさかのぼって有効になる。

 

※最判昭和31年4月10日、最判昭和37年11月30日

下級審の訴訟書類の印紙に不足があつた場合に、上級審において納付すればその瑕疵は補正され、その書類は当初に遡つて有効となる。

開発許可の取消しを求める訴えの利益

  • 2016.06.11 Saturday
  • 00:25
開発許可の取消しを求める訴えの利益に関する最高裁判決(平成27年12月14日)が出ましたので、紹介します。

その判旨は以下のとおりです。
市街化調整区域内の開発許可については、開発許可に関する工事が完了し、検査済証が交付された後であっても、開発許可が取消されれば、開発区域における建築等ができなくなる。
そこで、市街化調整区域内の開発区域における建築等の制限を求める者は、工事が完了し、検査済証が交付された後においても、訴えの利益が失われない。

※訴えの利益:訴訟制度を利用して紛争を解決する必要性のことであり、これを欠く訴えは不適法として却下される。
※市街化区域内の開発許可については、開発許可に関する工事が完了し、検査済証が交付された後においては、取消を求める訴えの利益は失われる(最判平成5年9月10日.、最判平成11年10月26日)。
 

遺言の撤回

  • 2016.05.24 Tuesday
  • 09:19
遺言の撤回に関する最高裁判決(平成27年11月20日)がありましたので、ご紹介します。

その判旨は
赤色のボールペンで遺言書の文面全体に故意に斜線を引く行為は、その行為の有する一般的な意味に照らして、その遺言書の全体を不要のものとし、そこに記載された遺言のすべての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であるから、民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し、遺言を撤回したものとみなされる。
というものです。

※民法1024条前段
 遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。

訴訟終了判決に対する控訴

  • 2016.05.07 Saturday
  • 14:57
訴訟終了判決に対する控訴に関し、最高裁判決(平成27年11月30日)がなされたので、ご紹介します。

その要旨は、第1審裁判所の和解による訴訟終了判決に対し、被告のみが控訴した場合、控訴審が第1審判決を取り消した上で原告の請求の一部を認容する本案判決をすることは、不利益変更禁止の原則に違反して許されないというものです。

したがって、訴訟終了が認められないと控訴審が判断した場合、原則として、事件は原審に差し戻しされることになります。

※訴訟上の和解の無効を主張する方法
 ヾ日指定の申立
 ∀族鯡妓確認の訴え
 請求異議の訴え

※訴訟終了判決
 訴訟が終了したことを確認する訴訟判決であって、訴訟上の和解が有効であるとの点について既判力を有しない(最判昭和47年1月21日)

※不利益変更禁止の原則
 第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる(民事訴訟法304条)。
 

共同保証人間の求償権の時効中断

  • 2016.04.03 Sunday
  • 13:29
共同保証人の一人が弁済をした場合に、他の共同保証人に対する求償権の時効中断について、最高裁判所判決(平成27年11月19日)が出たのでご報告いたします。

判決要旨は以下のとおりです。
共同保証人の一人が債権者に弁済をした場合、主債務者に対する求償権(民法459条1項、462条)と他の共同保証人に対する求償権(民法465条1項、442条)とを取得するところ、他の共同保証人に対する求償権は、共同保証人間の負担を調整するためのものであり、主債務者に対する求償権を担保するものではないから、主債務者に対する求償権の時効中断事由があっても、共同保証人に対する求償権について時効中断の効力は生じない。

そのため、保証人が弁済した場合については、求償権の時効を別々に管理する必要があります。

※求償権
 弁済者が他人に対して弁済を求める権利

一部訴訟救助に対応する請求減縮後の訴え却下

  • 2016.03.30 Wednesday
  • 17:42
一部訴訟救助決定がなされた場合に、その一部に対応する部分に請求が減縮された場合の訴え却下について、最高裁判所判決(平成27年9月18日)がなされたので、ご紹介します。

その判決要旨は、以下のとおりです。
金銭債権の支払を請求する訴えの提起時にされた訴訟上の救助の申立に対し、その数量的な一部につき訴訟上の救助を付与する決定が確定した場合において、請求が上記数量的な一部に減縮されたときは、訴え提起の手数料が納付されていないことを理由に減縮後の請求に係る訴えを却下することは許されない。

以上から、訴訟救助を求める場合、勝訴の見込みがないといえないのであれば、請求額についてはあまり気にせずに訴え提起をすることができることになります。


※訴訟上の救助(民事訴訟法82条)
 裁判費用等を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対して、勝訴の見込みがないとはいえないときに、その支払いを猶予する制度。

※最高裁判所判決昭和47年12月26日
 訴額の算定は、訴提起の時を基準とすべきであるから、上告人がその後に請求の減縮をしたとしても、当初に貼用すべき印紙額がそれに応じて減額されるものではない。

共用部分に関する不当利得返還請求権の行使

  • 2016.03.19 Saturday
  • 17:01
共用部分に関する不当利得返還請求権の行使について、最高裁判所判決(平成27年9月18日)がなされたのでご紹介します。

判決の要旨は以下のとおりです。
一部の区分所有者が、区分所有建物の共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち各区分所有の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権は各区分所有者に帰属するから、各区分所有者は、原則として、上記請求権を行使することができるとしつつ、区分所有者の団体は、当該団体のみが上記請求権を行使することができる旨を集会で決議し、又は規約で定めることができるとし、その場合各区分所有者は、上記請求権を行使することができない。
そして、管理規約に、管理者が共用部分の管理を行い、共用部分を特定の区分所有者に無償で使用させることができる旨の定めは、区分所有者の団体のみが上記請求権を行使することができる旨を含むものと解すべきである。

すなわち、
ゞν冑分についての不当利得返還請求権は各区分所有者に帰属する。
各区分所有者は、原則として、上記請求権を、個別に行使できる。
ただし、区分所有者の団体のみが上記請求権を行使することが定めることができる
い修両豺隋各区分所有者は上記請求権を行使することができない。
ゴ浜者が共用部分の管理を行い、共用部分を特定の区分所有者に無償で使用させることができる旨の管理規約は、の定めにあたる
ということです。

この判決からすれば、共用部分に関して紛争となった場合、各区分所有者が当事者となるのか、管理組合が当事者となるのか、管理規約をきちんと確認する必要があることになります。

 

認知症の方の家族の賠償責任

  • 2016.03.01 Tuesday
  • 20:02
本日、認知症の家族の方に対する賠償責任が棄却される最高裁判決がなされました。
まだ内容は良く分析できていませんが、望ましい結論になったとホッとしています。

民法改正(時効)

  • 2015.06.30 Tuesday
  • 16:36
時効に関する主な改正点は以下のとおりです。

中断を更新に、停止を完成猶予に言葉を変更

強制執行等による更新事由
・形式的競売、財産開示を追加

仮差押等による完成猶予
・更新事由でなくす

協議の合意による完成猶予
・協議の合意が書面でされた場合、以下のいずれか早い時まで完成猶予
  合意から1年
  協議を行う期間
  合意後協議続行拒絶の書面による通知がされてから6か月
・再協議の合意により、上記と同じ期間完成猶予(ただし最長5年)
・催告による完成猶予と両立しない

債権等の消滅時効
・時効期間が、行使できることを知ったときから5年、行使できる時から10年が消滅時効期間
・ただし、生命、身体の侵害による損害賠償請求権は、行使できる時から20年が消滅時効

短期消滅時効
・削除

不法行為による損害賠償請求権
・生命、身体の侵害による損害賠償請求権は、損害又は加害者を知ったときから5年で時効(他は3年)